二人暮し 私に付け込ませる理由を存在させないで 私はいつまでも絡みついたまま離れない事も可能なのよ 低く冷めた空気の中で息を殺して眠った振りをするの あなたが帰ってくる音と出て行く音が届くから 信じています 温く嗚咽を漏らす明け方の空がカーテンの隙間から忍び込んでくる 緩く盛り上がった私のシルエットで軽く歪むの 信じています 今すぐに言葉を頂戴 このポカリと浮かんだ黒い塊をドロドロにあなたの口で溶かして 白黒の昼を越えてやってくる夜なんて待てやしないの 窓に暗幕を引いて夜にしてあげるから あなたは私の目なんて見ないもの いっそその目を閉じて欲しいくらいだわ 知ってるの本当はずっとずっと前から 声を殺すことを覚える前から あなたの身体中の愛が私も通り過ごしてあっちの方に注がれるの 知ってるのよあなたが私の前でよく笑う様になったの あなたが誰のところへ心を飛ばしているのか知らないけれど あなたの優柔不断さに付け込んで未だ此処にいる私を嘲笑って 独りで立てない私を見捨てて あなたの声を耳を塞いで聞かない私を切り捨てて 優しくされたら私はいつまでも惨めな女を演じてしまう